深化する日本の経営 岡本大輔ほか

本書では経営学に関して、伝統的な日本的企業形態から、変化しつつある日本企業形態まで、最新の情報で経営学をわかりやすく解説した初学者向けの学術書である。

特に詳しく書かれているのは戦略面に関してであり、ポジショニングや競争優位、強味ネットワークといった各論点ごとに他項目より詳しく記述がなされており、理解しやすくなっている。

誰しも将来の夢に「社長」を1度は挙げたことがあるように思う。もちろんそれが現実になる人もいればそれがかなわない、もしくは目指していない人が大半だと思われるが、私は本書を読むことでちょっとした社長気分を得られた。具体的な資源管理や企業の取るべき戦略が詳細に記され、またトップマネジメントの章もあることから、読み終えた暁にはかなりの社長妄想が可能になっているだろう。自分が社長になった際には、こうした戦略をとり、企業をこう動かしていくといった具体的なビジョンが思い浮かべられることから、庶民の読者にとってはありがたい内容となっている。

それだけではない。本書を読むことで労働者観点からの企業の見方も変化すると感じた。具体的には、企業の今行っている戦略を把握することで、今の企業がそのような終着点を目指しているのかの把握、つまり少しだけ未来の予測ができるようになるということだ。

つまり本書は経営者観点、労働者観点どちらからでもメリットのある1冊になっているということができるのではないだろうか。