右腕1回戦

食品ロスについて  

                  権𠀋善一研究会 関野拓己

 

内容

第1章 はじめに

第2章 2-1食品ロスについて

        2-2 日本における食品ロスの現状と問題点

    

第3章 3-1 日本政府の対策

    3-2 仮説

    3-3 検証結果

    3-4代替案

 

参考文献一覧

 

 

  • はじめに

 

 衣食住の“食”である食事は私たちが生活する上で最も考えなければならない事柄の一つだ。歴史を振り返ってみても調理方法や保存方法、食材に至るまでここ人類の歴史において急速に発展している。しかし、食品ロスの量も技術や文明の発展と同時に増加している。

私は普段食事について特段の関心はないが、人間誰しもが密に関わりを持つ食事についての知識を増やす良い機会だと思い、食品ロスについて個人的に調べ、考察を書いた。

 

第2章 

 

2-1 食品ロスについて

 

 食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことを指す。食品ロスには大きく2種類に分けられる。1つ目は個人での食品ロスである。まだ食べられるのに家庭で作りすぎてしまったり、買いすぎによって廃棄してしまったりするなどが例である。2つ目は法人での食品ロスである。大学生が欲するコンビニやスーパーでの廃棄や、レストランなどでの食材の余利などがこれに当てはまる。また、似たような意義の言葉として食品廃棄物がある。日本において食品廃棄物とは「食品の製造・加工、流通、消費等の際に廃棄される食品の総称である」()。例としては野菜くずや大豆の搾りかすなども当てはまる。上述した通り、食品ロスとはまだ食べられるのに廃棄される食品のことを指すから食品廃棄物の中に食品ロスが含まれている。

 

2-2 日本における食品ロスの現状と問題点

 

現在の世界の年間食品ロス量は13億トンであり、これは消費者向けに生産された食物の1/3にあたる。世界にとっても莫大なコストを生んでいる食品ロスの問題は日本ではさらに顕著である。日本国内における年間食品廃棄量は平成28年度で約2842万tであり、可食部分は約620万tである。これは世界全体の食糧援助量である320万tの約2倍に相当し、金額ベースで約11兆円にあたる。可食部分の廃棄が深刻である事は数値上にあらわれている。上述したとおり、食品ロスは2種類に分けられるとしたが消費者側における食品ロスは280万tであり、生産者側における食品ロスは340万tである。また両者の数字とも左直近10年間で大きな変化はなく、現在日本政府が抱えている課題の一つであることが言える。

 

第3章

 

3-1 日本政府の政策

 

 生産者側の食品ロスを減少させる政策として、政府は食品製造企業と流通を行う業者に1/2ルールを推奨している。従来、日本の食品業界においては1/3ルールというものが暗黙の了解として存在していた。これは製造日から賞味期限までの日数を3分割し、製造されてから納品されるまでの日数がその1/3を超えれば廃棄し、それと同じルールを納品と販売間でも行い、最終的に店頭でも売れ残れば廃棄を行うというルールである。この暗黙のルールにより廃棄は3箇所で発生する状態になっていた。政府は製造日から賞味期限までの日数を3分割ではなく2分割とすることで廃棄の発生する箇所を2カ所に削減し、食品ロスの量を減らそうとした。

 消費者側の食品ロスを減らす政策としては消費者自らが食品ロスの削減を意識した行動を行えるよう,イベントの開催や学校における指導やキャンペーンの開催も定期的に実施している。

 

3-2 仮説

 

 私は「現状の政府の政策をこのまま施行し続けた際に食品ロスは減少する」と仮説を立て、検証する。

 

 

3-3  検証

 

 生産者側の食品ロスの削減をするために政府は1/2ルールを制作した。このルールは大きな効果をもたらしており、例をあげるとコカ・コーラボトラーズ株式会社では2016〜2017年間で45万ケースの廃棄を削減することに成功しており、業界全体として見ても飲料業界では約4万tの削減に成功している。金額ベースで見た際には71億円の損失を削減していることとなり、また廃棄量は年々減少傾向にある。しかし2020年現在でもこの1/2ルールは大手小売り業のイオン、セブンイレブン、などの30社のみで採用されている。このルールが社会全体に浸透していけば生産者側の食品ロスの大きな削減を見込める。

また生産者側では今まで廃棄されていた食品を有効使用するためのフードバンクの認知度が近年高まりつつある。フードバンクとは未使用食品がバンクに寄付され、バンクを介してその食品を必要としている人に届くという仕組みであり、これもまた食品ロスの削減に大きく影響してくると考えられる。

総じて生産者側での食品ロスは1/2ルールの浸透、フードバンクの浸透により今後も継続して減少すると考えられる。

 

消費者側での食品ロスの削減のために政府は食品ロスを認知してもらう活動や具体的な家庭での廃棄ルートを分析していることを主な方針にしていたが、消費者側の食品ロスは減少傾向ではない。具体的にはイベントの開催や学校での指導が主な施策であった。しかし現状の家庭からの食品ロス量の推移は2014年からの4年間でほぼ横ばいであり、これらの政策は意味を成していないと考えられる。また、これらの施策以上に発展性は無いため、継続することによって食品ロスが減少傾向に転じる事は考えづらい。よってこのまま政府の政策を続けたとしても消費者側での食品ロスの削減は見込まれないと考える。

 

 

 3-4 代替案

  現在世論で最も勢いのある消費者側の食品ロスの削減についての対策は全国的な家庭ゴミの有料化である。東京都小平市では2019年4月から12月まで家庭ゴミの有料化が行われた。前年の同月と比較したところ、月平均で約17%の家庭ゴミの削減が観測された。同様に東京23区外で家庭ゴミの有料化が行われ始めている。家庭ゴミの有料化は東京23区内や横浜市など首都圏大都市での実施が遅れているため、現状効果を大きく観測する事は難しいが、前例を見ると確実に家庭ゴミの量を減らすことができると考えられる。よって首都圏主要都市での家庭ゴミの有料化を代替案として提言する。

 

4章 

 

 参考文献

 

消費者庁 「食品ロスについて知る・学ぶ

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/

 

 

 上智大学釜賀浩平研究会 「日本における食品ロスの削減」

http://www.isfj.net/articles/2018/%E3%80%90%E4%B8%8A%E6%99%BA%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%91%E3%80%90%E9%87%9C%E8%B3%80%E6%B5%A9%E5%B9%B3%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A%E3%80%91%E3%80%90%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%A4%A7%E7%99%BB%E3%80%91%EF%BC%88%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%89%8A%E6%B8%9B%EF%BC%89%20(1).pdf

 

 NPO法人日本もったいない食品センター 「日本の食品ロスの現状」

https://www.mottainai-ichiba.org/now/

 

僕がアップルで学んだこと 松井博

本書は、アップルジャパン株式会社を経て、米国のアップルジャパン本社に移籍後、iPodマッキントッシュなどの製品の品質保証マネージャーとして勤務した松井博氏が著した本である。具体的な内容は、アップルの再建方法や自分の成長のさせ方まで、多岐にわたり、広い範囲の読者層に需要がある内容となっている。

ティージョブズが実際に用いた再建方法とそこから学んだ著者のノウハウが書かれており、これからの社会を生き抜くうえでのヒントが多数掲載されている。

私が読んでいて特に面白いと感じた部分は、第五章の上司を味方につけるという章であり、アップルの再建方法などよりも格段に実用的でリアリティがあることから、明日からにでも実践できる内容のオンパレードだった。特に、上司の権限はとてつもなく大きい、上司をお得意様と考えよう、上司には簡単にNOといわない、などの文章は人生経験上思い当ったりする節があり、勉強になると感じた。私は今までサークルや部活の先輩だけでなく、最近ではアルバイトの先輩や社会人の先輩とかかわる機会も増えたことから、明日からでも意識を変えられる実践的な内容になっている。

また、他にも6章での己を磨くという章の中には自己啓発要素だけではなく、明日から変えられる思考方法も書いてあり、私は実際いにこれを読んだ翌日から実行し始めている。日常に変化を起こしたい人、上司とうまくやり取りしたい人、その他経営者など幅広い層に読んでいただきたい作品である。

深化する日本の経営 岡本大輔ほか

本書では経営学に関して、伝統的な日本的企業形態から、変化しつつある日本企業形態まで、最新の情報で経営学をわかりやすく解説した初学者向けの学術書である。

特に詳しく書かれているのは戦略面に関してであり、ポジショニングや競争優位、強味ネットワークといった各論点ごとに他項目より詳しく記述がなされており、理解しやすくなっている。

誰しも将来の夢に「社長」を1度は挙げたことがあるように思う。もちろんそれが現実になる人もいればそれがかなわない、もしくは目指していない人が大半だと思われるが、私は本書を読むことでちょっとした社長気分を得られた。具体的な資源管理や企業の取るべき戦略が詳細に記され、またトップマネジメントの章もあることから、読み終えた暁にはかなりの社長妄想が可能になっているだろう。自分が社長になった際には、こうした戦略をとり、企業をこう動かしていくといった具体的なビジョンが思い浮かべられることから、庶民の読者にとってはありがたい内容となっている。

それだけではない。本書を読むことで労働者観点からの企業の見方も変化すると感じた。具体的には、企業の今行っている戦略を把握することで、今の企業がそのような終着点を目指しているのかの把握、つまり少しだけ未来の予測ができるようになるということだ。

つまり本書は経営者観点、労働者観点どちらからでもメリットのある1冊になっているということができるのではないだろうか。

煉丹術の世界 不老不死への道 加藤千恵ほか

本書は古代中国での丹術についてその詳細を図や参考文献画像で解説しながら理解を深められる作品である。

丹術という単語を聞いたことはあるだろうか。丹術とは、古代中国での不死への憧れのもと考えられた一種の古代学問的要素を持つ煉丹術である。煉丹術で出来上がった丹薬は摂取すると不死になる(=仙人になれる)という伝説であり、その性質により内丹術と外丹術に分けられる。内丹術とは体の中で陰陽の要素を融合(存在する物質ではなく気や力といった目に見えないようなもの)させることにより体内で丹薬を作り出す方法である。一方、外丹術とは丹薬を鉱物を加熱することによって生成し、それを体内で摂取することによって不死を目指すというものである。

本書では内丹術、外丹術の成り立ちや具体的な方法、その他氣功の発生などを古代中国の文献の解読をもとにした文章で解説していて、初学者でも大変理解が容易になっている。丹術の歴史という学問は性質上かなりディープなイメージであるが、かみ砕きつつも詳細な解説により親しみやすく理解しやすい学問としてとらえられる印象を受けた。

コアな領域ではあるが当時の古代中国情勢や事情も本書を読むことにより理解が深められることから、そのあたりに興味がある人にはぜひおすすめしたい一冊となっている。

逆に、中国や古代中国事情に興味が全くない人にとっては知識の披露をひたすら眺めているだけの読書時間になってしまうから、あまりお勧めはできない。

ちょっと気になる社会保障 権丈善一

社会保障という、普通に生活をしていたら学問、教養、知識として身につく機会はかなり少ない分野について、世の中で通説とされている年金に関する理論の誤りをまとめた一冊。年金制度が崩壊する、とテレビの中の経済学者が言っているのをだれもが1度は耳にしたことがあると思う。現在の庶民の情報摂取は多様化してきているとはいえるが、いまだテレビの存在は大きい。そんなテレビの中で「誤情報」を流したらどのように世論は動かされてしまうのか、そんなことも考えさせられるほど、本書の内容は正確かつ論理的であった。私は権丈研究会に所属したことにより、現段階での知識は人一般人よりも少しだけ社会保障について詳しいつもりであった。しかし、本書を読破したとき、自分の知識の浅さを思い知らされた。それほど本書の内容は濃く深く、本書を読破した一般人のほうが社会保障研究のゼミに入会したばかりの私より博識であることは明確であった。知識補給コラムにより、全逓知識が不足している方にとっても読みやすい内容になっていることから、社会保障を専門にしている研究者以外にすべての学生、一般庶民に読ませて損はないと言い切れるような内容であると感じた。知識の定着というのは人に安心感を持たせる。知識があるということはない人に比べて少しだけ先の未来を予見できるということであり、それは今を生きる上で安心へとつながるというわけである。大げさな書き方だが将来を不安視している人にはぜひ読んでもらいたい一冊。